チェルシーフラワーショー スタッフレポート
チャレンジスタッフに参加して
エクステリアデザイナー佐野祐介が世界最大の園芸の祭典、『チェルシーフラワーショー2012』にランドスケープアーティスト石原和幸氏のチャレンジス タッフとして参加しました。エリザベス女王も訪れる華やかなフラワーショーの制作舞台裏の様子をご紹介させていただきます。
チェルシーフラワーショーとは?

エリザベス女王が総裁を務める英国王立園芸協会が主催するガーデニングの祭典。毎年5月ロンドン市内のチェルシーで開催され、1913年以来続く権威ある伝統行事です。
40,000平方mの会場に600もの出展者が趣向を凝らしたコンセプト庭園や売店を出展。世界中から造園・園芸関連業者、花木生産者、各種園芸愛好家、各種園芸学校が集います。
期間中は20万人以上の人々が訪れ、入場制限が行われるほどの賑わいをみせます。
細部にまで徹底的にこだわって

今回の石原和幸氏の出展テーマは「里山の暮らし」。
日本の里山の原風景にある少し懐かしい世界を再現します。
イギリス到着翌日からは早速会場のブースでの作業へ。
植物の根巻き作業や根をほぐす作業の後、苔貼りの作業を行いました。
これは、単純に見えて作業の中では一番難しい作業です。
苔は大変脆いので慎重に扱わなければなりません。
苔を美しく見せるコツは、苔本来の丸みを生かして隙間のないように貼っていくことです。

そして並べる時も目地を十字にせず、自然石の乱貼りのようにY字に貼ることでより美しく見せることができます。手間がかかる作業ですが仕上がりの違いは一目瞭然。この苔は庭の全面の土留めに使われている玉石積みの丸みに合わせて統一感が出ていました。
翌日、庭が完成に向かうにつれて作業の種類も増え、私は苔貼りや職人さんが貼った自然石の乱貼りの目地を埋める作業を行いました。
そして、石原氏のアイデアで丸石や舗装石貼りの部分にニスを塗ることに。ニスを塗ることで、雨の後のような瑞々しさと石が本来持っているしっとりとした表情になる演出で大変勉強になりました。
各国のブースの新しい発想から刺激を

施工中の各国の現場も見学させていただきました。
規模の大小はありましたが、世界中のガーデナーたちがさまざまな様式でテーマを表現した庭にはとても刺激を受けました。中でも巨大なピラミッドのような工作物はとてもインパクトがありました。
ほかに韓国の庭では南北戦争をテーマにしており、歴史的な背景などをテーマにすることができるという点で、庭の表現力の大きさを改めて認識しました。
ロンドンの街角にて

散策をしたロンドンの街は、ブティックショップなどでも緑をうまく利用したディスプレイが多くあり、さすがガーデニングの本場、緑が常に身近なものだと認識させられました。
さり気ないデザインの中でも植物をうまく利用していて、これは日本でも取り入れて、癒しやインパクトを演出できるのではないかと感じました。
ゴールドメダル、ベストガーデンを受賞

石原氏の出展したブース「里山のくらし」がゴールドメダルとベストガーデンという栄誉ある賞を受賞しました。
ショーガーデンでの見せ方や造り方、こだわり方など一つ一つを妥協せず積み上げた結果です。
イギリスの気候に合わせ、本番に紅葉するように植物の温度を管理し、石の表情一つにも徹底的にこだわる作品に携わられたことは、大変大きな経験になりました
おわりに

所長 佐野祐介
今回の研修を通して、『世界一』の出展ブースの設営に携われたこと、さまざまなデザインに触れられたこと、またスタッフの方と交流が持てたことはとても刺 激になりました。この経験を活かし、お手伝いをさせていただいているお客様に対しても、妥協せずこだわりのあるものをご提案していきたいと思います。